口ごたえと不満。

口ごたえと不満。

ふと技工室内の洗い場に目をやると、洗い物が溜まっていた。
洗い物担当の弟はどこに?
と院長室へ行くと、代診の先生と一緒にヘラヘラしていた。
ム先生の日は、このパターンが多いので
「なぜ洗い物しないの?」
と問いかけて、技工室へ連れていくと、チーフ歯科衛生士が洗い物をしている最中だった。
「連れてきたから」
と声をかけたら
「私がしなくていいと言ったの」
との返事。
(なぜ?)

どうやら弟がリーマーの洗浄手順を抜かして、元の場所へ戻そうとしたのを注意したところ、キレられたそうだ。
こんなことは俺の仕事じゃないんだと言わんばかりの様子だったため、もうやらなくてもいいと追い出したとのこと。

情けない。

早々に院長室へ引き返し、ム先生の前で説教タイムとなる。
どうしてそうなる!
と……。
皆はあなたが戻れるようにと苦心してくれているのに、それをなぜ感謝できない。
何をどうしたら、弟が納得して、この下働きをしてくれるようになるのだろうか。
手順を間違えるのは仕方がない。
しかしそれを指摘されたからと、キレるのは間違っているのだと理解できないのだろうか?
「今のあなたは一番下っ端なの。そこから這い上がってこようとせずでどうするの!」
と叱咤激励するも、悲しいかな反応はない。
横で聞かされているム先生には苦痛だったかもしれないが、やはりこの現実を知ってほしくて、ワザとやってみたのだが……。

浅はかだよなぁ。

ワタシは家に帰れば、パパというクッションがいる。
今日も帰宅してから、お外へ夕ごはんを食べに行きつつ、車内で、店内で、今日あったあれこれを話して、意見を交換する。
迷路に入りこんだなぁと思うものの、吐き出す場所はある。

しかし弟にはその場所はない。
それも彼にとってはマイナスなのかもしれない。
だがその感情さえも消えてしまっているのかもしれないが……。

明日は、パパがワタシを送迎すると言ってくれた。
迎えに来たついでに、弟を夕ごはんに連れ出してみようかと。
パパにさえ、本音は言わないだろうけれど、それなりに話を聞くことはできるかもしれないから。

こんなに周囲があれこれと苦慮してくれているのに、彼はどこへ行きたいのやら。
いい加減、少しでも目覚めてくれないと、本当に捨てられるだろう。
皆の限界はもう迫っているのかもしれない。

こうすればいいのか?
ああすればいいのか?
とこの連休中、思案し続けていた。
形には出来なかったけれど、形に出来るようにしなくてはと思い続けていた。
そんな思案中のものに水を差された日となった。

高次脳機能障害は闇が深い。

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