高次脳機能障害を持つ方々には就労の問題が少なからずあると聞く。
その点、弟は自身が立ち上げた歯科医院があることだけが救いではある。
しかし代診の先生が来ていただけているからこそ成り立つのである。
弟自身に果たして歯科医師として戻る意思があるかどうかは不明である。
口では「戻りたい」とは言うものの、やっていることと言えば……である。
努力はしていない。
できないと表現するのが適切なのかもしれないが、どう見ても、何もしていない。
今も、この1時間ほどはスケーリングの患者さんのみが続くので、代診の先生には「○時からでいいですよ」とお伝えしたので、歯科医師は弟のみである。
それなのに、院長室でダラダラとスマホを眺めているだけである。
高次脳機能障害であるから仕方がないのかもしれないが、サポートしている立場のワタシから見たら、サボっているとしか映らない。
その姿を横目で見て、イライラはするが、大きく雷を落とすことはせずにいる。
言ったところで何も変わりはしないのだ。
要は本人がどうしたいかである。
その意識が生まれない限りは無理であろう。
こう打っていたら、スタッフが院長室へ呼びに行ったようだ。
そんな弟は
「オレじゃない」
との言葉をよく吐くが、ほぼほぼオレが原因である。
ままたまにワタシが原因なこともあるのだが……。
やったことを覚えていないのだ。
記憶障害である。
新しい情報を保持できない。
その助けとなるのがメモなどであるが、それも「書けない」の一言でスルーしてしまう。
書けないのであれば、書ける人に助けてもらえばいいのにと助言しても、それを多用することはない。
1人でお邪魔する病院の通院では看護師さんにスケジュール帳に次の予定日を書き込んでもらったり、リハビリ時にはSTさんに助けてもらいながら、記入したりしているのに、うちのスタッフたちには助けてと言えないようだ。
プライドなのだろう。
しかし今はプライドは無用の長物なのだよ。
それを捨てるといっぱいいいことがあるのにと思うのだが、本人には通じない。
歩む先を考える日々は続く。
コロナ禍で、その日々が延長された感も強い。
そんな水曜午後。
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